知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS 中島康晴著

IFRS国際会計基準)関連の本ということで、中島康晴著「知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS」を読みました。

知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS

視点がはっきりしており、たいへん参考になる本でした。会計に関してある程度の知識と経験がある人が、IFRSを理解するために最初に読む本として良い本だと感じました。

本書の中で繰返し述べられているのは、IFRSが企業経営者が企業を経営管理するための経営ツールではなく、IFRSデューデリ会計であるということです。つまりIFRSは、投資家としての投資対象である企業に関する経済的意思決定に資することを目的とした財務諸表であるということです。

この違いは大きく、「IFRSは従来の会計制度の思想や設計とはまったく意を異にするものである。会計のパラダイム・シフトが起き、これまでの考え方のままでは経営に役立てることはできない」と著者は説いています。
このような視点で、IFRSに関する論点を取り上げ解説がされています。

例えば、売上の認識に関しては、「例えば、ある会社を買収するケースを想定してほしい。買収の際にはデューデリをして、相手の会社を評価する。その時に売上があれば、出荷しただけでなく、出荷した製品のリスク・義務が解除される状態になって初めて売掛金として認められ、そうでなければ当然在庫にしてくれという話になる。」
視点が明確で、全体像がすっきりと頭に入ってきます。

なお、本書は、2010年初頭に経団連で行なった講義録をベースに、大幅に加筆・修正したものだそうです。



知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS

知らないではすまされない マネジメントのためのIFRS